抗がん剤の副反応など、細々とした不調と折り合いをつけながら生きる日々。
なるべく気にせず過ごそうとするものの、時折どうしても気になってしまうのが「自分にあとどれだけの時間が残されているのか」。
このタイミングで、日々なんとなく過ごしている時間が、実はとてつもなく貴重なものであることを認識し、どれだけの時間が残されているのかは正直わからないものの、「日々を何となく過ごすのではなく、人生をより良くするための行動を取ろう」と思うようになりました。
そして何かを改善しようとする時、まず最初に必要な「現状把握」に取り組むことにしました。
仕事に、人間関係にイライラ・・・不満ばかりの日々
具体的な方法をご紹介する前に、当時の私の生活状況がどんなものだっかを簡単にご紹介しようと思います。
当時の生活はとにかく「イライラ」が大半を占めていました。「できません」と言ったもの勝ちの環境の中、どうしても仕事を断るということができず、その結果同僚全員分の業務を半分負担する事になり、いつも慌てていたように思います。
どうにか状況を打破したい気持ちはあるものの、とにかく日々の業務をこなすことに手一杯で、負担と不満だけがじわじわと募っていきました。
自分がやれば済むと我慢を続けると、その我慢はいつか「当たり前」になり、当たり前になると周りから「新たな要求」が生まれ・・・の大変な悪循環
「自分をないがしろにする人は、人からもないがしろにされる」と聞いたことがありますが、これは真実な気がします。特に職場環境においては
- NOと言えない、または言うことに抵抗を感じる
- 感情の起伏がなく穏やか
- 我慢強く耐久性がある
- 反省しがち
- 自信がない
な特徴を持っている方は、損な役割を押し付けられたりすることが多いように思いますが、私も比較的このようなタイプで、この気質がゆえにじわじわと心と身体が蝕まれていく感覚がありました。
“自分の軸”を見つけ出す作業
皆さんは「自分の状態」や「欲求」を把握することは得意でしょうか?
私は「目の前の課題ややるべきこと」ならすぐにポンポン挙げて行動に移せる割に、自分にまつわることを考えるのはすごく不得手でした。
着る服を選ぶでも食事を決める時でも、「これが良い」ではなく「これで良い」というのが基準になっていました。これまで流されるがままに生きてきて、自分に向き合うこともなく、特にこれといったこだわりのようなものもなく生きて来たからか、自分が何をどうしたいかという事を考えることが思ったよりしんどい。
日々仕事や子育てなど、自分以外の何かのために多くの時間を割く中で、かつてあったはずの“自分の軸”を見失ってしまっている人が多いように思います。
自分にとって何が良くて、何が良くないのかも分からない状態で「人生を良くする」のは難しく、出来たとしてもかなり回り道になってしまう可能性があります。
前回の記事で紹介したマインドフルネスを実行するようになってから、少しずつ「今自分が何をどう感じているか」を意識できるようになってきましたが、より頭を整理するために実行したのが「書く(ジャーナリング)」でした。
肝心な「何をどう書くか」については、私は以下の順序で実施しました。
- 今思っていることを、本音で全部書く
- 1で見えてきたことをもとに、自分の「理想の状態」「やりたいこと」「欲しいもの」等を100個書く
- 毎月始めに「Journal with me」で進捗確認
まず1の「今思っていることを、本音で全部書く」については、読んで字の如く、今の気持ちを全部吐き出します!構成などは一切気にせずに、誰にも言えないような事でも何でも、全部書きます。
私の場合は日頃言えないような、職場への愚痴ばかり出てきました(笑)。もうここぞと書き殴り、手も疲れてきたタイミングで書いたことを振り返ってみると、何となく同じような不満が何回か出現している事に気付けたり、「これは人のせいのように感じていたけど、自分の被害妄想かもしれない」「幼い頃に厳しくされたことで、必要以上に人の顔色を伺う性格になっていないか」と冷静に振り返れるきっかけにもなりました。
個人的なお勧めは何も気にせず乱雑に書き殴る方式ですが、もう少し体系立てて書きたい場合は『書く瞑想』を参考に、嫌な/ネガティブなことを吐き出す「放電ログ」、その後に良かった/ポジティブな出来事を書く「充電ログ」をそれぞれ箇条書きで書くのも良いと思います。
古川武士 (著)
https://amzn.to/3I3mfk7
次に2番目の「1で見えてきたことをもとに、自分の「理想の状態」「やりたいこと」「欲しいもの」等を100個書く」です。人によると思いますが、1を実行するとネガティブな感情がたくさん出てくると思います。日頃自分の感情を抑えがちな人ほど“自分の欲求”が見えにくくなりますが、嫌なことが分かると、その逆の状態が「自分の理想の状態」であったりもするので、割と2を実行しやすくなります。
ここで大切なのは、「100個絶対書き切ること」です。各項目は何回被っても良いですし、実現性とかも何も考えなくて良いのでとにかく「100個」にこだわって書いていきます。
私の場合は、
- 好きなタイミングで働ける、休める
- 自然豊かなところで暮らす
- 好きな人たちと働く
- 一日中ダラダラする
など、望みの大小構わず取り止めもなく書いていました。
さすがに100個も書けないよ・・・と思いながら頑張って書き切ると、何度も同じ願いが出てきたりするので、それが自分にとって重要で、優先するべき価値観である事に気付けます。
が、優先すべき課題が今すぐ叶えられるものかどうかは状況によるので、書き切ったら「今実現できそうな所から希望を叶えることを始め、叶ったらチェックマークを入れて叶えた日付を書く」と良いです。
日頃意識をしていなくても文字に書くことで脳にインプットされるのか、書いてから少し日付をあけてリストを振り返ってみると、結構叶えられていることが増えていたりします!
そして最後に、毎月頭のルーティンとして未来リナさんの「Journal with me」。
(俳優の城田優さんの妹さんです!)
「何を書くといいか」は動画の概要欄に書いてある通り「今月できたこと、できなかったこと」、「理想の人生を生きるために取り入れるべき習慣」・・・などで、これらの特に構成の何が良いかと言うと、
- 自分の欲求が何かを向き合うきっかけになる
- 毎月できたこと、できなかったこと(継続すること)を定期的に振り返れる
- 自分が影響を及ぼせる具体的なアクションを検討できる
の3点。
未来リナさん自身、過去に摂食障害や難病のIBD(炎症性腸疾患)や精神的に苦しんだ過去があり、これまで治療のために受けてきた海外の精神科医のノウハウなども合わさったジャーナリング構成になっているようです。
ジャーナリングはどうしても日課にしづらい側面もあったり、日常の忙しさにかまけていると気付かぬ間に自分の理想から遠かった方面に向かったりすることがあります。
しかし、毎月頭に配信されるJournal with meを行うことで、定期的に「自分の向かいたい方向が何か」を振り返る機会になり、「理想の人生を送るためには具体的にどういう行動をしたら良いか」もセットで考えられます。
毎月進捗状況を振り返って理想のために自分ができていること、できていない(来月も継続すべき取り組み)ことが可視化されるのがとても良く、一足飛びでなくとも、少しずつ自分の悪癖を修正できていたり、達成感を感じて自己成長が見えると自己肯定感も上がるなど、良いことづくめのように感じました。
癌は「言いたいことを山ほど封じ込めて病と化したもの」?
科学的根拠に基づいた話ではないものの妙に納得感のあった話をご紹介すると、癌という漢字は「口3つが山のようにあり、それがやまいだれの中に閉じ込められている」→「言いたいことを封じ込めすぎて病と化した」というもの。
言いたいこと、主張したいことがたくさんあるにも関わらず、うまく伝えられず、消化不良の言葉たちがどんどん自身の中で病となっていく・・・個人的に、とても腑に落ちる所がありました。
入院時に見てきた同病の方々も、少し自分を犠牲にしていたり気を使ってくれたり、自分を抑えているタイプの方が多いようにも見えました。
病とジャーナリングは一見治療に全く関係ないことのようにも見えますが、他人に伝えにくいことも全てノートに吐き出し、自分軸を見つめ直し、自分にとっての理想が何かを発見する行為は、私にとって欠かせない治療プロセスでした。
そして今も、気持ちの整理がつきにくい時などは積極的に「文字としてきちんと言語化する」ことを心がけていることで、以前のような「どうしようもない消化不良な精神状態」を放置しなくなり、精神的な健康を保ちやすくなってきているように思います。
日常的にスマホから大量の余計な情報が入り、「自分の本当の軸は何なのか」「その理想は本当に自分の理想なのか」が分かりにくく、ぶれやすい時代。本来の自然な自分を見失ってしまっていないでしょうか?
コメント